03-08.攻守の交代


アメフトは野球と同じように攻撃と守備がはっきりとわかれてますね。でも、野球の「3アウトでチェンジ」みたいに、攻守が交代するタイミングは1つだけじゃありませんね。
どういうときに交代するでしょう?



ふぁい! 点取ったときだよ!






そうだね、あとは?





インターセプト






そうじゃ、よーしっとんのー、それはターン・オーバーっちゅーんぞ。ほかには?




パント!






おう、われ、しっかり予習しちょったんな、そりゃサイドチェンジちゅうけぇ、おぼえとけっちゃ。





きゃほーい♪






なんですかこのつまんない寸劇…
ってかあんたどこの人ですか…





というわけで、今日は攻守が交替するときについての説明です。





(1)点が入ったとき

 オフェンスが得点したら、得点したチームのキックオフで試合が再開される。だから次に攻撃するのは相手チームってこと。
 ただし、オンサイド・キックっていう、相手にキックをキャッチさせずにボールを取り戻すプレーもあったり、かってにリターン・チームがボールを落としてくれたりして、ときどき得点したチームがそのまま次の攻撃もすることもあるけどね。これらについては後で。とりあえず、普通は点が入ったら次は逆のチームの攻撃だよ。


(2)サイド・チェンジ

 4回の攻撃で10ヤード進めなかった場合は、攻撃権が相手チームにいっちゃう。ということは攻守交替だね。最後のプレーが終わった地点から、次は相手チームが攻撃をはじめる。これを、攻撃する側が変わるっていうことで、サイド・チェンジって言う。
 サイド・チェンジは大体これら3パターンでーす。


a)ギャンブル失敗

 実際は4thダウンで普通のプレーをすることは少ないよね。3rdダウンまでで10ヤード進めなければ、パントを蹴って攻撃権を放棄するか、敵陣30ヤードくらいまで進んでいればFGを蹴って得点を狙うっていうのがほとんど。4thダウンで普通のプレーするのは珍しいので、そのことを「ギャンブル」って特別な言い方をするくらい。
 そのギャンブルで失敗してファースト・ダウンが取れなかったら、サイド・チェンジになる。4回のプレーで10ヤード進めなかったから交代、一番わかりやすいよね。


b)パント

 ボールを受け取った選手(パンター)が、ボールを地面につけることなく蹴る。蹴った時点で攻撃権は放棄されて、次は相手の攻撃っていうことなる。

 4thダウンで、なんでまだプレーできるのに、つまりファーストダウンをとるチャンスがあるのに、パントを蹴っちゃうのか。
 それは、攻撃権を放棄する代わりに、ボールの位置を相手に不利なところに移動させたいからだよ。
 たとえば自陣30ヤードで4thダウンになって、そこでギャンブルして失敗したら、相手チームは30ヤード進めばタッチダウンっていう位置から攻撃できる。でもパントを蹴ると、だいたい平均的には40ヤードくらい相手側に移動できるから、相手は自陣30ヤードから攻撃をはじめないといけない。ということは、70ヤード進まないとタッチダウンできない。自分たちが得点するチャンスは一時的に放棄するかわりに、相手が得点する確率を減らす。そのためにパントを蹴るってわけ。


c)フィールド・ゴールの失敗

 FGを蹴って、ボールがゴールポストの間を通らなかった場合は、そのFGは失敗。点が入らないのはもちろん、次はボールを蹴ったところから相手チームの攻撃がはじまる。
 ちなみに、蹴り損ねてボールがちょっとしか飛ばなかったとか、蹴ったボールをディフェンスにブロックされたとかで、ボールがフィールドに転がった場合は、ディフェンスに限りそれを持って走ることができるよ。オフェンスはボールをリカバーすることはできるけども、その時点でプレーは終了するから持って走ることはできない。キック失敗と同じ扱いになるので、結局はサイドチェンジね。


この蹴られたボールはポストの間を通ることはなかった…
くわしくは映画『バッファロー66』を観るべし。


(3)ターン・オーバー

 ターン・オーバーっていうのは、目玉焼きとかパンケーキなんかををひっくり返すこと。


くるって回転するのねー!
サイド(攻撃側)がチェンジ(替わる)するってのよりも、一瞬で攻守がくるっと入れ替わっちゃう感じだねー!




その通り、ボールを蹴らなくても、4thダウンじゃなくても、一瞬で攻守が入れ替わることがたくさんあるのじゃ。
インターセプトファンブル、覚えておきなさい。




a)インターセプト

 オフェンスが投げたパスをディフェンスが捕ることをインターセプトっていう。横どりだね。

 パスが空中にある間は、オフェンスもディフェンスも両方キャッチしてOK。オフェンスが捕ればパス成功、その分だけ攻撃が進むけど、ディフェンスが捕ればインターセプトでターン・オーバー。
 パスを捕ったディフェンスの選手は、そのまま自分たちの攻める方向に走って良くて、それでエンド・ゾーンまでいければタッチダウンにもなる。途中でタックルされたりサイド・ラインから出たら、今度はそこからインターセプトした方のチームのオフェンスがはじまるよ。


b)ファンブル・リカバー

 ボールを持ってる選手が、そのボールを落としちゃうことをファンブルっていう。


やべ、落っことしちゃった!

というものから、


激しいタックルで持っていられなかったものまで、いろいろ。


 ファンブルしたボールを取ることを「リカバー」っていう。オフェンスが取れば、そのまま攻撃を続けることができるけど、ディフェンスが取るとターン・オーバーになるってわけね。


とったほうの攻撃になるよ!


 ディフェンスが倒れ込まずにボールを拾い上げた場合は、そのまま走ってもOKだよ。

 一度ファンブルしたボールをオフェンスがリカバーした場合は、それまでの攻撃を続けてるのと同じって扱いになる。たとえばファンブルしたボールが5ヤード前に転がって、それをオフェンスがリカバーすれば、5ヤードのゲインになる。
 もしファンブルされたボールが、誰も取らないままアウト・オブ・バウンズに転がり出ちゃったら、オフェンスが確保しているってことになって、出たところから次のプレーができる。これもたとえば5ヤード転がって外に出たら、オフェンスにとっては5ヤードのゲインってことになるよ。


 ディフェンスの選手が、ボールを持っているオフェンスの選手にタックルしたり、持っているボールを叩いたりしてファンブルさせることを「ファンブル・フォース」っていう。

QBのボールを持ってる腕を狙ったり、

ランナーが腹に抱え込んでるボールをパンチしたり、

 ディフェンスは常に狙ってるわけ。


ときどきこういう、ディフェンスがボール・キャリアーを抱きかかえるようにしてタックルしてるのを見たことがないかい?





あるあるー!






これもファンブルさせるためのプレーなんだよ。
プレーが終わるのは、ボールを持ってる選手の手のひらと足の裏以外の場所が地面についたら、だったよね。ということは、ボールを持ってる選手と地面との間にディフェンスの選手がいたら、プレーは終わらないんだ。



 だからディフェンスは、こういう風にわざと最初にタックルした選手が下になる。


 するとボールを持ってる選手は身動きが取れないから、後からくるディフェンスの選手はボールを狙いやすいんだね。
 実際はボールを持ってる選手の動きが完全に止められた時点で審判がプレー終了の笛を吹いちゃうけど、それまでの1秒足らずの時間にディフェンスがみんなでボールを叩こうと飛び掛ってくるってわけだね。