各チームのスタジアムの名前の変遷を調べてみました。NFC編。


昨日の続きでございます。


NFC


■東


Dallas Cowboys
Cowboys Stadium
まだネーミングライツを売る可能性はあるとかないとか言ってるけど、財政的には困ってないんでしょうね。ファンたちは「ジェリーんち」とか「ジョーンズ・タウン」とか皮肉だか本気だかって名前で呼んでる。


New York Giants
MetLife Stadium
MetLife はニューヨークに本社のある保険会社。
2010に前のジャイアンツ・スタジアムに代わって使われだした新築スタジアム。一応は州のスポーツ施設群のひとつという位置づけになっているが、ジャイアンツ・ジェッツ両チームが建設のための金集めから関わって、ネーミングライツを MetLife が買って、というあまり自治体色は強くない印象の球場。


Philadelphia Eagles
2003年開業、当初から Lincoln Financial Field
Lincoln Financial Group は、保険、資産運用、投資、銀行など総合証券系会社。


Washington Redskins
FedEx Field
1997年、前オーナーの名前を冠した Jack Kent Cooke Stadium としてオープン。
現オーナーの Daniel Snyder がチームとスタジアムを買い取って、1999年からはネーミングライツを売って現在の名前。


■北


Chicago Bears
Soldier Field
戦没者を記念してスタジアムを建造するという企画がスタートしたのが1919年、なのでおそらく一次大戦記念。それが23年に完成して、当初の名前は Municipal Grant Park Stadium 。25年に正式に Soldier Field に。


Detroit Lions
Ford Field
2002年オープン、そのときからフォードがネーミングライツを買っている。ライオンズはオーナーもフォード家のWilliam Clay Ford, Sr.


Green Bay Packers
Lambeau Field
チームの設立者であり選手でありヘッドコーチでもあった Curly Lambeau の名前から。


Minnesota Vikings
Mall of America Field at Hubert H. Humphrey Metrodome
1982年オープン。それ以前に使われていた Metropolitan Stadium から名前を引き継いだ形で Metro Dome と呼ばれた。
ネーミングライツは2009年から、隣のショッピングモール Mall of America との契約で現在の名称に。
Hubert H. Humphrey はミネソタ出身の元副大統領。いろいろくっつけると名前が長い。


■南


Atlanta Falcons
Georgia Dome
ジョージア州の持ち物なのでジョージア・ドームです。


Carolina Panthers
Bank of America Stadium
噂のバンカメです。
1994年完成、当時は Carolinas Stadium だった。
1996年には Ericsson Stadium に。携帯電話メーカーのエリクソン。で、2004年から今の名前に。


New Orleans Saints
Louisiana Superdome
ルイジアナ州の持ち物だが、今年10月メルセデスネーミングライツを買った。これから Mercedes-Benz Superdome になる予定。


Tampa Bay Buccaneers
Raymond James Stadium
1998年、バッカニアーズのオーナーが代わったタイミングで建設。投資を主にする Raymond James Financial がネーミングライツを買った。


■西


Arizona Cardinals
University of Phoenix Stadium
2006年完成、そのときは Cardinals Stadium だった。実はUniversity of Phoenix ってのは営利目的の社会人向け教育機関で、上場もしてる営利団体らしい。そこがカーディナルスのスタジアムのネーミングライツを買ったわけだ。どっかの大学のスタジアムを使ってるのかと思ってた。


St. Louis Rams
Edward Jones Dome at America's Center
Edward Jones Investments は地元の投資会社。
1992年オープン。街のもので、もともとは Dome at America's Center だった。それが Trans World Airlines へのネーミングライツの販売により The Trans World Dome となったが、2001年にその航空会社がAmerican Airlines に吸収され、AAが契約を引き継がなかったためいったん消滅。2002年に Edward Jones Investments がネーミングライツを買って今の名称に。


San Francisco 49ers
Candlestick Park
地名からきてる名前。
1960オープン。現在も同じ名称だが、途中、ネーミングライツが売られて別の名称になっていた。
1995年から2002年までは、ネットインフラ屋さんの3Com(現在はHPに吸収されている)が買って、 3Com Park at Candlestick Point という名前に。
2002年から04年まではどこも買わずに、 San Francisco Stadium at Candlestick Point だったが、
2004年に今度はAV関係のケーブルなどをつくっている Monster Cable Products Inc. が買い、 Monster Park という名称に。
その後、このスタジアムがサンフランシスコのものなので、(おそらく)市議会で、もうネーミングライツは売らないという法案が成立。2008年の契約満了をもって今の名前に戻った。


Seattle Seahawks
CenturyLink Field
2002年完成。しばらくは Seahawks Stadium だったが、2004年に携帯キャリアの Qwest がネーミングライツを買って、 Qwest Field になった。その後2011年、 Qwest が CenturyLink に吸収され、ネーミングライツもそのまま引き継がれ、現在の名称に。


というようなところのようです。
以上をまとめてみますと、

オーナー、設立者、チーム名など 9
金融系 7
製造・小売業 6
IT、携帯 3
エネルギー 2
建設業 1
流通 1
教育 1

となり、ネーミングライツを売っていないところが9チームと最多となりました。
ランボー・フィールドのように絶対売りたがらないであろうところもあります。ソルジャー・フィールドのように売るのはまずいだろうと思われるところもあります。
その他に、ジョージア・ドームだったりキャンドルスティック・パークだったり、地元の自治体の影響力により売らないことになっているんだろうな、というところもあります。これは地域としてチームを支えている感覚に裏付けられているのかもしれません。横浜という名前がついているスタジアムがむしろ球団を赤字にする要因のひとつになっている日本プロ野球とはちょっと違うわけですね。


ネーミングライツを買っている企業についても結構多種にわたっており、これという傾向はみられません。ただ、現在は金融業が比較的多く、一契約期まえはIT系・携帯電話屋が今よりも6つほど多かったことを見ると、そのときどきで景気のいい会社が買うものなのだろう、と。
企業にとっては、チームを持つという一応は永続的な資本を得る行為とは違って、つまりは掛け捨ての広告費ですから、ころころ変わるのは避けられないでしょう。それがまた、自治体なんかが持っているスタジアムの場合にはネーミングライツを売るのを嫌がる原因になるのかもしれません。
ともあれ、あんまり長い名前にはしないでほしいものです。こんがらがる。