スーパーボウルにダラスいってきました(7)ゲーム後半。モメンタムの沸きでるところ、そしてスタンドはカオスになった。


 嫌な感じで前半を終わり、後半最初の攻撃シリーズも、いつもどおりのドロップと反則で終わってしまったパッカーズ。非常に嫌な感じが増幅。
 パント・ラッシュでもパーソナルファールなんて取られちゃって、GBディフェンスはさほど大きくしかけることもなかったけれど、中のランが詰まってて外に流れてゲインってのが続いて、それに対応しようとしたか今度は中のランがでちゃってタッチダウン
 4点差。GB 21-17 PIT。
 ひじょーーーーに、嫌な感じ。
 となりのオッサンも一段とうるさい。

 一気にモメンタムがスティーラーズに動いていた。思うにモメンタムっていうのは、プレーが終わってから盛り上がる、このアメリカ人気質が生むもんなんじゃないかと思った。ほんっと、良いプレーが出たチームのファンは騒ぎ、逆側のファンは黙る。様式美と言うかルールと言うか、絶対的なものらしい。日本の古典的声援である劣勢側の「どんまい」みたいなセリフは聞こえない。とにかく、直前のプレーで良かったほうが騒ぐ。それだけ。
 良いプレー⇒ものすごい声援、と続けば選手のほうもなんかよけいに調子良いような気分になってくだろう。逆側のチームの選手は孤立する。そしてモメンタムが生まれる。
 そうか、なるほどね。スーパーボウルだから良いほうのチームのファンが交互に騒ぐってことになる。それでモメンタムの移動を感じるのかもしれないけれど。普段のゲームだったらクラウドノイズは、「有る」か「無い」かだけで、移動するもんじゃないしなあ。


 で、すっかり飲まれちゃったのか、さらに次の攻撃でまたネルソンがドロップ。お前さっき覚醒したはずだったんじゃないのか。
 そしてレギュラーシーズン一連のダーティーヒット&罰金の騒動からすっかり影が薄くなっていたハリソンがここでサックをきめる。流れってそういうもんなんだねえ。


 ほんとに泥沼な雰囲気だったんだけれど、ここでちょっとテレビCMのためのタイムアウト。家でテレビ見てるときはこの間がわずらわしかったけれど、スタジアムではモニターでいろんな映像が流れて意外と楽しかった。


 3Q残り9分ほど、スティーラーズは自陣40ヤードからというよろしいフィールドポジション。タッチダウン・パスを決められててもおかしくなかったプレーもあったものの、最後はしっかり守り切った。
 そしてFG失敗。
 流れを止めたって感じ。スティーラーズのファンたち、ほんとにあからさまにがっかりするんだもん。やはりモメンタムってのは客がつくるんだよ。

 そしてパッカーズは、あいかわらずオフェンスのリズムは悪くてパントだけれど、どうにかフィールドポジションは回復。勢いも止まってきたかスティーラーズは、ロスリスバーガーのパスの精度にいまだムラがあって、両サイドともに二本目になっているCBを攻めきれなかった感じ。
 が、次のGBのオフェンスは痛恨の3&アウト、チャレンジ失敗のおまけつき。もうひどい。いったんはモメンタムをイーブンのところまでもっていけたはずなのに、ここでまたスティーラーズのファンが大騒ぎ。

 でもやはりスーパーボウルなので、本当のクラウドノイズっていうものは起こらない。テリブルタオルもまばらに振り回されてても迫力はない。


 実際のところ、僕と同じように消極的選択の結果としてどちらかのチームのジャージを着てる人のほうが多いくらいだろうし、観客の一体感というか試合の流れにのめりこんでいく感じは、どちらかのチームのホーム・フィールドじゃないと乏しいんだろう。そのかわり、選手も比較的試合に集中しやすいだろうし、なにより「最後の試合」っていう緊張感はレギュラーシーズンはもちろんプレーオフでも比べ物にならない。観てるこっちもすげえ緊張する場面がたくさんあった。
 えっと、つまり、
 なにが言いたいかっていうと、
 来年もコルツはちゃんとスーパー前に負けてください。


 パッカーズは追い詰められてエンドゾーンからのパント、しかも飛ばない。PITは敵陣からの攻撃。最初のプレーでFG圏内へ。GB雰囲気最悪なところで、シールズたんがフィールドに戻ってきた!


 勝負所なんだよ、ここしかないんだよ。いけいけ。
 ってところで、
 4Qに入ったとたん、
 例のファンブル・フォース!


 アメリカの試合後のスポーツ・ニュースでは、このプレーはセンターのブロック・ミスからだって解説だったけど、それだけとも思えないけどなあ。


 ともあれGBは、3Qから4Q半分まで丸々ずーっと嫌な雰囲気でオフェンスはなんにも仕事できなかったのに、結果的にはディフェンスがどうにか7失点だけにしのいだ、ということだろう。しかもファンブルさせてボールとともにモメンタムまで奪ってくれるっていう最高のお膳立て。
 実際、ここまでのロジャースはそれほどよかった印象はない。たしかにドロップは多かったし、それにもめげずに淡々とプレーを続けてたのは評価されるべきだろうけれど、パスミスも結構あった。インターセプトがないからレイティングは悪くなかったし、試合はつくれてたってのが大きいんだけども。
さらにここでネルソンが今日3つめのドロップで、


 この時点でパス成績は17/31(55%)だったみたい。


 が、ここから覚醒。
 これでもかとネルソンに投げてファーストダウン、さらにサイドはCBだけになること多いよなー、カバー薄いよなーってところにTDパス。ポラマルが追いつけなかったっていうのも、オフェンスに取っては勇気づくことだったかもしれない。


 GB 28-17 PIT

 しかしスティーラーズもあっさりとあきらめてはくれない。次のシリーズ、決してスムースなドライブではなかったものの、じりじりとFG圏内まで進んで、
 敵陣25ydsでの3rd.&3。

 ここで。
 ふたたび、シールズたんがやられちゃった。

 まあね、3rd.&3だったし、フックがきたらインターセプトしてやるぜって気持ちも痛いほどよくわかるんだけどもさ。それであっさり裏にいかれちゃったらさ。そりゃーさ。ってかこのやられかたって、前半もあったよなー?
 そんなこんなが頭をよぎりつつ、タッチダウン
 GB 28-23 PIT

 さらに、2ポイント・コンバージョンでまさかのオプション。手負いのシールズたんにタックルはできないよー。って感じで成功。


 ついに3点差。GB 28-25 PIT。
 うひゃー。なにこのしびれる展開。
 残り7分半。
 でもスティーラーズは早い段階でタイムアウト残り1つになっちゃってるし、ここでちゃんと7点取れば決まりだろ。
 今度はオフェンスが仕事する番だぜ、みたいな。
 できんのか? ロジャース!? みたいな。

 ここまでくるともう客席もテンション最高、いままでのように両チームのファンが交互に盛り上がっているのではなくって、両方がそれぞれてんでにうるさい。
 もうカオス。
 しかし結局ここでは決められず。

 これ捕ってればネルソンMVPあったよなー! ってのも逃し、

 3点だけ追加で、GB 31-25 PIT。


 残り2分、最後の勝負。結局パッカーズはディフェンスのチームなのだよ、などと考えるものの、まわりのスティーラーズ・ファンがうるさいぞ。
 なにより、こういう場面でのわけのわからない勝負強さはスティーラーズが一番だろうし、前回出場時のスーパーボウルの逆転劇は言うまでもなく、去年のレギュラーシーズンで対戦したときにもGBは最後の最後に逆転TDを食らって負けている。怖い怖い。

 でもここにきてもまだ6人でラッシュするGBディフェンスをみて安心した。アツイ。これはいけるだろ。
 1回ファーストダウンは取られたものの、やってきました勝負の4th.&5。これはもう決められるだろ、と思って録画してみた。

 そしてこれ!

 その瞬間のスタンド!

 そしてニーダウン時のスタンド!


 ほんと両チームともに、オフェンスにもディフェンスにもそれぞれ見せ場があって、試合展開も最後まで面白くって、ぎりぎりまでロスリスバーガーの不気味さにおびえさせられる、素晴らしい試合でした。


 試合終了後のカオスっぷりはまた次回!